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民泊スタートアップガイド 概要編

こんにちは。行政書士の安藤です。

私自身行政書士として200件を超える相談を受けてきた実績と実際に自分でも民泊事業に取り組んだ経験から、単なる法律の説明だけでなく実践的でリアルな情報をお伝えしたいと思います。

民泊の事業としての難しさと面白さ

民泊の面白いところは、事業であることだと思います。
よく不動産投資の延長で収益性が高いから始めたいと言うご相談も頂きますが、正直あまりおすすめできません。

理由としては

①不動産賃貸業に比較すると民泊は都度予約が売上のベースとなるため不安定。
②開業までの準備や継続するための経費が結構かかる。
③地域によって別途宿泊税の支払もある。
④代行業者も様々で地域によっては選択肢が少ないこともある。

などが考えられます。
また、この数年でもコロナウイルスの世界的流行やウクライナでの戦争など大きな変化があり、それまでの常識を覆すことが多数おきました。

逆にいうと正解のない事業だからこそ、試行錯誤して取り組むことで結果に結びつくものです。

面白さの面では、田舎の空き家でもう使うことはないだろうと思っていた場所を民泊にしたところゲストが泊まってくれて喜ばれたり、ゲストと直接コミュニケーションをとって良い結果に繋がったときには想像以上に嬉しいものです。
世界中の旅行者が自分の部屋を探して来てくれると考えただけでもワクワクしませんか?

もちろん地道な努力から収益性が確保できてくるようになると、経済面のメリットもあります。

既に民泊事業に取り組んでいる方にも「なんのためにやっているのか?」基礎を見直すことによって、これからの戦略を再考してみるきっかけになれば幸いです。

民泊とは?民泊を始めるメリットとイメージをつかむ

ホテルや旅館以外に一般の住宅を活用した宿泊業が可能になった

日本においては、観光立国を目指すべくインバウンド旅行者の受入を強化してきました。
過去には「爆買い」という言葉も流行り、東京オリンピックを見据えた宿泊施設の不足を補填するため、2018年6月15日に住宅宿泊事業法が施行され一般住宅での民泊が解禁されました。

外国の知らない人の家に泊まるというのは、一見ハードルが高いように見えますが、一般的な日本人が住んでいる住宅に宿泊できる点は訪日外国人にとって想像以上に魅力的なようです。
特に2回・3回…と繰り返し来日される方にとっては、より日本人の暮らしを体験してみたいという深い欲求が強くなる傾向になるようです。

私自身も民泊運営を行う中で、トイレのウォシュレットやお風呂の自動給湯器、エアコンなど日本人にとっては当たり前のものが、意外にも驚かれることが度々ありました。

今までの民泊歴史

まだ浅い民泊の歴史ですが、主なできごとを簡単に振り返ってみます。

2008年頃

  • airbnbが日本でサービススタート。手軽に空き物件を貸し出しできるサービスとして人気を得る。

2016年

  • 12月 国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例としていわゆる「特区民泊」が誕生。
    宿泊日数制限も2泊3日以上9泊10日までとなり柔軟な宿泊予約が可能となった。

2018年

  • 1月 全国初となる自治体として東京都大田区が特区民泊の取組みを開始。
    airbnbでの収益性の高さなどから旅館業法の許可取得が難しいケースでも合法的に民泊運用ができることに注目が集まる。
    その後2020年までに大阪府・北九州市・新潟市・千葉市等の自治体が取組み開始。
  • 6月15日 住宅宿泊事業法が施行
    特区民泊が地域限定的であったものに対し、本法が全国対象となったことをきっかけに民泊に取り組む個人や事業者が急増。
    各メディアでも連日取り上げられ民泊ブームが始まる。
  • 旅館業法改正
    一方で旅館業法も同時に改正。ホテルと旅館の区別が統合。
    最低客室数が1部屋から可能となり玄関帳場の規定も改正。民泊スタイルにあった内容となった。
    同時に罰則規定も強化。無許可運営を続ける事業者の摘発や、住宅街での民泊に対し地元住民の反対などの問題も各地で発生する。

2019年

  • インバウンド需要が急拡大。届出数も急増し民泊プレーヤーが次々に現れる。
    大手不動産会社等の法人参入も目立つようになり、一気に民泊の熱が過熱。

2020年

  • 国内初のコロナウイルス感染者を確認
    その後世界中でコロナウイルスの蔓延により海外渡航の制限が始まる。
    4月以降はインバウンド客の激減、国内でも自粛制限などの影響により経営難となる事業者が急増。
  • Go to トラベル事業の開始
    事業開始をするもコロナウイルスの蔓延を受け途中で中止に、その後感染者数が減少したタイミングで一旦再開するも再度中止となる。

2021年

  • 県民割など各地で国内マイクロツーリズム向け観光支援開始。
    国や各自治体による融資や感染症対策補助金など事業者支援が活発になる。

2022年

  • コロナウイルスの感染者数減少に伴い外国人入国者の水際対策の緩和。
  • 10月 全国旅行支援スタート。

2023年

  • インバウンドの回復に伴い訪日外国人もコロナ前の8割以上回復。
  • 街中でも外国人観光客を良く目にする機会が増える。
    私が運営している民泊部屋の予約数がコロナ前を上回りました。

どうなる?今後の民泊動向

コロナ前に急上昇した住宅宿泊事業者の届出数はその後およそ1/3近くが廃業し、2022年頃には18,000程度になりました。

低迷していた外国人宿泊者数ですが、今年に入り円安の影響もあり、2023年7月には2019年比▲1.6%とほとんどコロナ禍前の水準を回復するまでになりました。
参考 ニッセイ基礎研究所
以前顕著に見られた中国人観光客の需要がやや控えめになっていますので、このあたりが回復してくると一気にコロナ以前以上になると予想されます。

また宿泊のジャンルで考えると、コロナ渦中でブームとなったキャンプやアウトドアが引き続き人気です。
今後は宿を中心としたアクティビティを提案できることや、自分の家のようにくつろげる民泊ならではの楽しみ方を組み合わせるなどの工夫が外国人にも日本人にも響くのではないかと思っています。

まとめ

  • 民泊ブームで盛り上がってきたところに新型コロナウイルス感染症の流行が重なり大きなダメージを受けた。
  • 既存の宿泊施設以外にも新規参入企業の撤退や倒産など多くの周辺プレーヤーがダメージを受けた。
  • コロナ前を超える回復が見えてきた中で、今後どのように展開していくかが課題。
  • 投資ではなく事業と捉え、自ら運営を考えていくことが鍵となる。(+楽しく運営できる)
  • 宿泊施設周辺の地域観光資源を活用しながら、楽しめる動線を伝えることも重要。

どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。