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こんにちは!行政書士の安藤です。福岡市での民泊開業を目指す皆さんを応援するガイド第2回目は【準備編】として、多くの事業者が最初に直面する大きな壁、「建築基準法」と「消防法」について掘り下げていきます。
第1回の記事こちら↓
「物件さえあれば、すぐにでも始められるのでは?」という思い込みは禁物です。実は、法規制の確認を怠ったために、リフォーム費用が無駄になったり、計画そのものが頓挫してしまったりするケースが少なくありません。
ご紹介する内容は旅館業許可申請で最低限必要となる知識に絞ったものです。物件の購入や賃貸契約を結ぶ前に、必ず今回の内容をチェックして、安全でスムーズな民泊開業への第一歩を踏み出しましょう。
ポイント①「建築基準法」 その物件、用途地域は大丈夫?
まずクリアすべきなのが建築基準法です。この法律は建築士の専門分野であり非常に多岐にわたりますが、ここでは民泊開業を目指す方が特につまずきやすいポイントに絞って解説します。まず重要なのが「用途地域」の確認です。
用途地域とは、都市計画法に基づき、地域ごとに建てられる建物の種類や用途が定められたものです。福岡市では、宿泊施設である民泊(旅館業)を営業できない地域が定められています。
例えば、「住居専用地域」や「工業専用地域」などでは、原則として旅館・ホテルを営業することはできません。
「福岡市Webまっぷ」で用途地域を調べてみましょう
ご自身の物件や、これから検討する物件がどの用途地域に該当するかは、福岡市が提供している「福岡市Webまっぷ」で誰でも簡単に確認できます。
【用途地域の確認手順】
- 「福岡市Webまっぷ」にアクセスします。
- 「マップ一覧」から「都市計画情報」を選択します。
- 住所検索で、確認したい物件の所在地を入力します。
- 地図上に色分けされた用途地域が表示されます。画面左の凡例で、その色がどの地域に該当するかを確認できます。

もし、営業可能な用途地域であっても、地区計画や建築協定などで個別のルールが定められている場合もあるため、詳しく確認したい場合には福岡市 住宅都市局 建築審査課に確認することをお勧めします。
知っておきたい「用途変更」と「200㎡の壁」
戸建て住宅やマンションの一室など、もともと「住宅」として建てられた建物を民泊施設(旅館・ホテル)として使用する場合、「用途変更」という手続きが必要になることがあります。
ここで大きなポイントとなるのが、いわゆる「200㎡の壁」です。
建物のうち、民泊施設として使用する部分の床面積の合計が200㎡(約60坪)を超える場合は、建築確認申請を行い、「確認済証」の交付を受けなければなりません。
この手続きには、専門家である建築士への依頼が必要となり、費用や時間がかかります。また、建物の構造や設備を現在の法律の基準に適合させるための大規模な改修工事が必要になる可能性もあります。
例えば、3階建ての戸建て住宅(各階80㎡)の全てを民泊施設にする場合、合計面積は240㎡となり、用途変更の確認申請が必要です。一方、1階部分(80㎡)だけを民泊にする場合は200㎡以下のため、確認申請は原則不要となります。なお、面積には民泊部分だけでなく、その部屋に至るまでの通路や階段なども按分計算されるため、注意が必要です。
「容積率」にも注意!
もう一つ、見落としがちですが重要なのが「容積率」の問題です。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。
実は、一般的な「住宅」には、共用廊下や階段、地下室などの面積を容積率の計算から一部除外できる緩和措置が適用されている場合があります。しかし、建物の用途を「旅館・ホテル」に変更すると、この緩和措置が適用されなくなる可能性があります。

その結果、今まで適法だった建物が、用途変更によって容積率オーバーの「既存不適格」建築物となってしまうケースがあるのです。この点も、物件の購入や契約前に、建築士などの専門家に相談しておくべき重要なポイントです。
その他、ここでは割愛しますが、新築・増改築・用途変更の確認申請を行う場合などに確認すべき事項もあります。
・福岡市福祉のまちづくり条例
・福岡市旅館業等設置規制指導要綱に基づく手続き
ポイント②「消防法」
次なる壁は、「消防法」です。
不特定多数の人が宿泊する民泊施設は、一般的な住宅よりも厳しい防火安全基準が求められます。物件ごとに基準に対応した消防用設備を設置する必要があります。
どんな設備が必要?
求められる設備は、建物の規模や構造、収容人数によって異なりますが、主に以下のようなものが挙げられます。
- 自動火災報知設備:煙や熱を感知して、ベルなどで火災を知らせる設備。一般住宅にも設置されている住宅用火災警報器とは異なり、建物全体に連動するシステムの設置が必要です。
- 誘導灯:緑色の人のマークでおなじみの、避難口を示す照明。
- 消火器:初期消火に不可欠です。
これらの設備は、専門の業者による設置工事が必要です。
なお、年間営業日数が180日以内の「住宅宿泊事業法(民泊新法)」で届出を行う場合は、家主同居型など一部で設置義務が緩和されるケースもありますが、それ以外は旅館業法と同等の設備を求められるケースがほとんどです。
消防法とは異なりますが上記に加えて、住宅宿泊事業では非常用照明設備(停電時に自動で点灯し、避難経路を照らす照明。)の設置が必要な場合があります。詳細は国土交通省の「安全措置の手引き」もご参照ください。
まずは所轄の消防署へ「事前相談」を!
物件の契約や工事に着手する前に、物件の図面などを持参して、その地域を管轄する消防署の予防課に事前相談に行きましょう。
「この物件で民泊を始めたいのですが、どのような消防用設備が必要ですか?」と相談すれば、具体的に指導してくれます。平日の日中に時間を作って相談にいく必要があるため、少し面倒ではありますがこちらはマストです。
可能であれば、工事を依頼する消防設備業者とともに訪問するとより具体的な話ができるでしょう。

マンションの一室で始める場合の注意点
マンションの一室で民泊を始める場合は、建築基準法や消防法に加えて、そのマンション独自のルールを確認する必要があります。
必ず「管理規約」を確認しよう
分譲マンションには、そのマンションのルールを定めた「管理規約」があります。まずはこの管理規約を読み込みましょう。例えば「専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」といった条文があれば民泊禁止となります。近年では、トラブル防止のために明確に「民泊禁止」をうたう規約も増えています。
規約で禁止されていなくても、管理組合への事前の説明と承認は不可欠です。無断で始めると、他の居住者との深刻なトラブルに発展し、事業の継続が困難になる可能性があります。
近隣住民への配慮も忘れずに
騒音やゴミ出しのルールなど、宿泊者が引き起こす可能性のあるトラブルを未然に防ぐためにも、営業開始前に近隣の住民へ挨拶と説明をしておくことが、円滑な事業運営の鍵となります。福岡市の「民泊はじめてガイド」でも、許可申請前の近隣住民への周知が推奨されています。
まとめ
今回は、民泊開業における最初の関門、「建築基準法」と「消防法」の基本について解説しました。
- 建築基準法:まずは「福岡市Webまっぷ」で用途地域を確認。200㎡を超える場合は「用途変更の確認申請」が必要、さらに「容積率」にも注意。
- 消防法:必要な消防用設備は物件ごとに異なる。契約前に必ず消防署へ事前相談。
- マンション:管理規約の確認と管理組合への説明は必須。
ざっと説明しましたが、これらの法規制は複雑で、ご自身だけでの判断が難しい部分も多くあります。計画の初期段階で、行政書士や建築士、消防設備士などに相談することをお勧めします。
専門家の助言を得ながら一つ一つのステップを確実にクリアしていくことが、成功への一番の近道です。
次回は、いよいよ【実践編】。許可申請に必要な書類や、具体的な手続きの流れについて詳しく解説していきます。
