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特定技能「外食業」分野の受入れで知っておきたい知識

アフターコロナで出かける機会も増え回復を見せる外食需要。
旅行客や訪日外国人の外食数も増加し人員の確保が不可欠となってきました。
コロナ渦中に離れたスタッフを確保することができず、経営が困難となる宿もあると聞きます。
そんな外食業の人材ニーズ解決の希望でもある特定技能「外食」分野について説明します。

外食業分野特有の基準とは?

特定技能12分野それぞれ業界特有の問題点等を踏まえ、関係省庁が連携して基準を設けています。
外食業分野については農林水産省を中心に各省庁が連携して制度の立案見直しを行っています。人材確保の面だけでなく、食品の取り扱いに関する衛生安全面などにも配慮の必要があります。

受け入れ背景

外食業は海外旅行者増加などの影響もあり観光地を始めインバウンドへの対応が求められるなか地方の人材は少なく慢性的に人手不足でした。コロナウイルスの影響で一時は人材過多となった時期もありましたが、アフターコロナで外食需要が回復し、再度人材が求められています。

また⼿作り感やホスピタリティといった外⾷業ならではの価値を作り出すことが求められる業種であることや、状況に応じて臨機応変に作業内容を変える判断が必要となることから、外国⼈を含め必要な⼈材を確保していくことが急務とも言われています。

人材のスキルとしてもアルバイト等の単純作業者だけでなく食品衛生、飲食物調理、接客全般に関する知識や技能をトータルで持つ人材が求められています。

受け入れ予定数

外食分野においての令和元年度〜5年度の受⼊れ⾒込み数は最⼤30,500⼈と発表されており、こちらを受⼊れの上限として運⽤されています。※今後見直しの可能性があります。

外国人が従事可能な業務内容

対象職種

外食分野の対象職種ですが「外食業分野の1号特定技能外国人を受け入れる事業者は、当該外国人を飲食店、持ち帰り飲食サービス業、配達飲食サービス業、給食事業等の飲食サービス業を行っている事業所に就労させること」となっています。

レストランや食堂、カフェなどの飲食店はもちろん、テイクアウト専門のお弁当屋さんなどの持ち帰り飲食サービス、宅配寿司、仕出し料理などの配達専門飲食サービス、その他にもケータリング、給食事業等幅広い形態が対象となっています。

従事する業務

特定技能外国人は試験等の知識を用いて飲食物の調理や、接客、店舗管理など外食業全般の業務に幅広く従事する必要があります。

ただし、繁忙期など一部の期間に限定して調理を担当するなど、期間限定で特定の業務にのみ従事することも可能となっています。

主な業務区分

・ 飲食物調理:客に提供する飲食料品の調理、調整、製造を行うもの

・ 接客:客に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの

・ 店舗管理:店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの

また上記の業務に従事する日本人が通常行うであろう関連業務(店舗において原材料として使用する農林水産物の生産、店舗における調理品等以外の物品の販売等)に付随的に従事することも可能となっています。

ちなみに2号特定技能外国人の場合は、複数の従業員を指導しながら上記業務を行います。

飲食業でも雇用できない場合もある

例外的に飲食業であっても就労できない場合が定められています。

「1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第1項に規定する風俗営業及び同条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む営業所において就労を行わせないこと。また1号特定技能外国人に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を行わせないこと」

風俗営業及び性風俗関連特殊営業を営む営業所においては、飲食業関連の業務であっても特定技能外国人を就労させることはできません。

キャバクラや接待を伴うお店、バー、パチンコなどでの採用は要注意です。

参考:警察庁風俗営業等職種一覧
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/fuzoku/gyoshu_ichiran.html

外食分野で働くために必要な技能水準とは?

試験ルート

日本での技能実習の経験がない方はこちらのルートが該当します。 

試験ルートの場合は「外食分野特定技能1号技能測定試験」にて技能水準を「国際交流基金日本語基礎テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」にて日本語能力水準を確認します。

両方の試験に合格する必要があります。

海外での試験開催国

執筆時点での外食分野の1号評価試験の開催国はネパール、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、スリランカ、タイ、カンボジアになっています。

2号特定技能外国人については 「外食業特定技能2号技能測定試験」の合格及び食品衛生法の営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)として2年以上の実務経験が必要となります。

また接客等への対応能力の確認として日本語能力試験(N3以上)への合格が必要となっています。

技能実習生卒業ルート

「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を良好に修了した外国人の場合、上記試験ルートの試験が免除されます。


食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理・給仕に至る一連の業務を担うという点で1号特定技能外国人が従事する業務において要する技能と、業務を実施することができるという点で関連性が認められることが理由です。
それ以外の職種・作業で2号を修了した実習生の方は、日本語水準試験のみが免除されます。

つまりすべての試験が免除されるのは「医療・福祉施設給食製造職種:医療・福祉施設給食製造」を2号まで終えた実習生の方のみになります。

申請時の確認書類

特定技能1号の場合

 ■試験合格者の場合
・外食業特定技能1号技能測定試験の合格証明書の写し
日本語能力を証するものとして次のいずれか
・国際交流基金日本語基礎テストの合格証明書の写し
・日本語能力試験(N4以上)の合格証明書の写し

技能実習2号修了者の場合
■技能実習2号修了時の技能実習評価試験に合格している場合
・医療・福祉施設給食製造技能実習評価試験(専門級)の実技試験の合格証明書の写し
■技能実習2号修了時の技能実習評価試験に合格していない場合
・技能実習生に関する評価調書(参考様式第1-2号)

特定技能2号の場合
・外食業特定技能2号技能測定試験の合格証明書の写し
・日本語能力試験(N3以上)の合格証明書の写し

雇用企業側の基準とは?(特定技能雇用契約の適正な履行の確保に係る基準)

雇用主である特定技能所属機関は事業所において飲食サービス業を行うに当たって、法令に基づく許可等を受けることが必要になります。(法令で許可等が不要の場合を除く)

外食業の多くの事業所では食品衛生法の営業許可が必要になるのではないでしょうか。

確認対象の書類

・保健所長の営業許可を受けている場合は、許可書の写し
・保健所長の営業許可を要しないが届出の対象の施設については、届出(届出後に変更届を提出している場合は変更届も含む。)の写し(例:学校、病院、その他の施設の特定給食施設)

※ 保健所長の営業許可の名宛人が特定技能所属機関と異なる場合(営業許可書の営業場所は特定技能外国人が業務に従事することとなる特定技能所属機関が運営している事業所に限る。)には、①名宛人が異なることに関する理由書、②特定技能外国人が業務に従事することとなる事業所たる物件を所有又は管理する者との当該事業所における飲食サービス営業に関する契約書の写し等の提出が必要

 ※ 法令に基づく許可等を要しない施設の場合は資料の提出は不要

協議会への加入

初めて外食分野の特定技能外国人を受け入れる場合には、当該特定技能外国人の入国後4か月以内に、農林水産省が設置する外食分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入する必要があります。

加入後は協議会のほか、農林水産省が行う調査又は指導に対し必要な協力を行うなどしなければなりません。

キャリアアッププランの作成

また、外食分野で特定技能外国人を採用する際にはキャリアアッププランを作成し、雇用契約を締結する前に書面やメール等で本人に提供して説明する必要があります。

キャリアアッププランの内容の例

  • 想定されるキャリアルート
  • 各レベルの業務内容及び習熟の目安となる年数
  • レベルアップするときに必要な経験・実績、資格・検定など

キャリアアップさせる際は、辞令や職務命令書等をもって例示した役職 を命じ業務に従事させる必要があります。
書面を交付するなど証拠を残しておくのが良いでしょう。

派遣労働者の受入、労働者派遣はどちらも禁止されている

特定技能外食業分野では派遣労働者の受け入れは禁止されています。
そのため、受入及び派遣どちらも行うことはできません。

まとめ

特定技能「外食業」分野について説明しました。

協議会加入など独自のルールもありますので、自社が該当するのかしっかりと確認した上で雇入れの検討を行って頂きたいと思います。

ラクセントではビザ取得サポート以外にも食品衛生法の許可取得に関する相談も受け付けております。

お気軽にご相談ください。

どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。

参考資料

農林水産省 外食業分野における 外国人材の受け入れについて
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/gaikokujinzai.html

特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領
外食業分野の基準について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/attach/pdf/gaikokujinzai-13.pdf