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宿泊分野での人材不足を担う特定技能外国人とは?

コロナウイルスの影響で低迷していた宿泊業界も2022年になって国内旅行を中心に回復傾向にあります。今後は外国人旅行客の復活でインバウンド需要も回復するものと思われます。

今回は宿泊業の人手不足解消法の一つとして、特定技能外国人の受入について説明します。

特定技能外国人について理解をすることで、雇用の不安を減らし前向きな採用活動に取り組むことができるようになります。

コロナ渦中で減少した宿泊事業者の人材確保は困難

コロナウイルスがまん延する中、多くの宿泊事業者は事業継続のため固定費の削減、特に人件費の削減に取り組みました。
雇用調整金があるとはいえ永遠に続くわけでもなく、やむなく退職したスタッフは既に他の職に就いています。

観光需要が復活したからといって、すぐ呼び戻せる可能性は少なく、新たにスタッフを採用してゼロから教育するのも大変です。
国内宿泊客が増加したと回答した事業者は、8割超え(株式会社ダイブ調査)

特定技能「宿泊」分野で可能な業務

技能実習生が日本で知識や技術を学ぶことに対して、特定技能は実戦力となって日本での就労人口をカバーするものになり目的が異なります。

主に労働人口が不足する分野に特定されており、この「宿泊」分野も定められています。

試験をクリアした意欲をもった外国人が日本での就業が可能となっています。

また特定技能では1号と2号の2種類があります。
当初は1号での入国となりますが、特定技能2号は「受入れ分野で熟練した技能を有すること」とされ、特定技能測定試験(2号)でそのレベルを確認します。
特定技能1号の外国人が日本に滞在中に受験し合格することで移行可能となっています。

1号との大きな違いは在留期間が更新可能で条件を満たせば永住申請も可能となっている点です。
また要件を満たせば家族の帯同も可能です。

「特定技能」についてより知りたい方は別の記事で詳しく説明していますので、ご覧ください。

特定技能外国人の受入ルートは主に2種類

新規で特定技能ビザを取得して入国

通常は日本で特定技能外国人を派遣する送出機関にて、人材紹介からビザ取得の方法、入社までの流れをサポートしてくれます。
特定技能外国人は本国で行われる試験を受け、ビザ取得要件を満たした方が対象になります。

技能実習からの変更

技能実習生として日本で宿泊事業に携わり、その後特定技能に資格変更を行なう事も可能です。
技能実習の2号が終了する3年間を良好に修了し、同一分野で業務に関連性がある場合が対象になります。
ホテルでのサービスや接客を学び、そのスキルを生かす場合などは関連性が強く対象になりやすいと思います。

また日本語試験、技能試験が免除されます。

ビザ取得するための2つの試験

日本語試験

ビザ申請時には日本語能力を証する資料として「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」合格証または「日本語能力試験認定結果及び成績に関する証明書」(N4以上)となっています。

https://caipt.or.jp/

日本語の基本的な読み書き、会話の理解などがテストされるので比較的意思疎通もしやすい外国人となります。

技能試験

宿泊業での技能測定試験については宿泊業で必要とされる知識について幅広く出題されます。

宿泊業で必要とされる技能や知識である「フロント業務」「広報・企画業務」「接客業務」「レストランサービス業務」「安全衛生その他基礎知識」の5つのカテゴリーより出題され、日本の旅館・ホテルでの業務に従事するための技能レベルを確認します。
試験は学科・実技に分かれ、学科試験は真偽法による30問を出題、実技試験は上のカテゴリーより、現場を想定した実際の対応能力を判定いたします。(一般社団法人宿泊業技能試験より引用)

スケジュール

随時試験団体のHPにて更新されています。

記事執筆時点のスケジュールでは2023年1月下旬〜2月上旬に国内で開催となっています。

1月26、27日 東京
1月30日 福岡
1月31日 大阪
2月1日 名古屋
2月2日 那覇

※申込は2023年1月6日〜10日を予定

またインドネシア(バリ・ジャカルタ)、ネパールでも受験できるようです。

どのような問題が出題される?

学科試験ではホテルでのフロント対応、企画広報、接客、レストランでのサービスなど総合的な知識を問われる問題が出題されます。

実技試験では受験生が宿泊施設のスタッフになったつもりで回答する形式になっています。

試験団体HPには過去問や試験サンプルもあるのでぜひご一読ください。

受入企業側での要件

雇用形態・業務内容について


雇用形態は直接雇用にする必要があります。

また業務内容は宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務に限られます。
※これらの業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例:館内販売、館内備品の点検等)に付随的に従事することは可能。

宿泊施設側の要件

  • 旅館業法に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること
  • 風営法上の「施設」に該当しないこと(ラブホテル等はNG)
  • 特定技能外国人に対して風営法上の「接待」を行わせないこと
  • 国土交通省が設置する『宿泊分野特定技能協議会』の構成員になること

支援計画の作成

受入企業は特定技能外国人が職業上や、日本での生活面で支障なく暮らせるよう支援する計画作成する必要があります。

計画に定める10項目

事前ガイダンス
雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等について、対面・テレビ電話等で説明

出入国する際の送迎
入国時に空港等と事業所又は住居への送迎
帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行
住居確保・生活に必要な契約支援

連帯保証人になる・社宅を提供する等
銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインの契約等を案内・各手続の補助

生活オリエンテーション
円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明

公的手続等への同行
必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助

日本語学習の機会の提供
日本語教室等の入学案内、日本語学習教材の情報提供等

相談・苦情への対応
職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解することができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等

日本人との交流促進
自治会等の地域住民との交流の場、地域のお祭りなどの行事の案内や参加の補助等

転職支援(人員整理等の場合)
受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の作成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供

定期的な面談・行政機関への通報
支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報

特定技能総合支援サイトより)

特定技能外国人の管理が難しい場合は登録支援機関に任せることも可能

上記の支援計画を自社で行うには難しい…といった場合は登録支援機関に特定技能外国人支援計画の実施を委託することが可能となっています。

受入企業側は特定技能外国人の育成や業務に集中することが可能になります。

宿泊分野特定技能協議会


受入機関は特定技能外国人を受け入れた日から4ヶ月以内に入会する必要があります。
会費などは特にかかりません。観光庁へ申請を行います。
協議会は、特定技能外国人の適正な受入れ及び保護を行うため、また、各地域の特定技能所属機関が必要な特定技能外国人を受け入れるため、構成員が相互に連絡を図ること及び必要な措置を講ずることを目的とする。

特定技能宿泊分野の外国人紹介機関

特定技能外国人を紹介している機関をご紹介します。

株式会社マイナビグローバル

https://global-saponet.mgl.mynavi.jp/visa/4625#chapter-13

まとめ

  • 宿泊業の新たな担い手として外国人人材は貴重な存在
  • 技能実習と特定技能は異なるもの。特定技能外国人は日本語能力・技術試験のパスした優秀な人材
  • 受入企業側での要件や支援計画の実施、雇用契約など受入準備が必要
  • 所属機関は宿泊分野特定技能協議会への加入が必要
  • 支援計画の実施は登録支援機関に委託することが可能なため負担を減らせる
  • 審査や入国手続きには時間がかかることも時間に余裕を見て計画的な雇用を検討する

どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。