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在留手続

特定技能ビザから技術・人文知識・国際業務への在留資格変更

 

特定技能ビザ(SSW)で働いているけど、転職して語学学校の先生になりたいなどのケースで、在留資格の変更は可能なのか?疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はビザ変更の可能性と要件について、具体的に考えていきたいと思います。

在留資格「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」の違い

特定技能(SSW)1号ビザ

  • 目的:特定の分野での人手不足解消を目的とする
  • 必要な能力:日本語能力、特定分野のスキル・知識で判断
  • 業務範囲:特定の会社で決まった業務を行う。単純労働・作業も可能。
  • 国籍者:二国間協定がある国のみ
  • 在留期間:原則5年間

技術・人文知識・国際業務

  • 目的:学歴や経歴、日本人には無い感性や能力を生かして日本で働く外国人受入のため。

  • 必要な能力:活動内容に求められる学歴や経歴など。
  • 業務範囲:会社や国の機関などとの契約内容に基づいた活動を行う。単純労働は例外を除き認められない。
  • 該当国籍:原則制限なし
  • 在留期間:更新可能なため制限なし

「特定技能1号」は、外国人労働者が日本で特定の産業分野で働くための資格です。具体的には、製造業、建設業、船舶業、ホテル・旅館業、農業、介護・福祉業、造船・航空機部品製造業、自動車整備業、漁業、飲食料品製造業のいずれかで働くことができます。産業分野ごとに必要な技能レベルが設定されており、該当する技能を持っている場合に限り、特定技能1号の資格を取得できます。

一方、「技術・人文知識・国際業務」は、専門的な知識や技能を持つ外国人が、日本の企業や団体で働くための資格です。具体的には、工学、自然科学、人文科学、社会科学、外国語教育、国際業務などの分野での専門的な知識や技能を持っている場合に、この在留資格を取得できます。ただし、技術・人文知識・国際業務の在留資格には、日本語能力や高度な専門的スキルが必要となる場合があります。

つまり、「特定技能1号」と「技術・人文知識・国際業務」は、それぞれ異なる分野で働くための在留資格であり、取得に必要な要件や条件が異なります。

自分のバックグラウンドを生かして働くことが可能な「技術・人文・国際知識」

特定技能1号との大きな違いは、過去の経歴をベースに技術や専門性が生かせることです。
いずれも雇用されることが前提ではありますが、特定技能は受入側に各種支援が義務付けられているのに対し、生活面は自力で行う必要がありより日本人に近い就労資格といえます。

特定技能1号から技術・人文知識・国際業務への変更は可能か?

別の会社に転職する場合

特定技能では、就労先も含めた審査で在留許可になっているため、そもそも同じ特定技能ビザでの就労を目指す場合も別の会社への転職を行う場合は在留資格変更許可申請を行う必要があります。
技術・人文知識・国際業務への在留資格変更の場合には、新たに要件を満たす必要がありますが特定技能の要件とはかなり異なります。
該当する業務については在留資格の名前の通り、3種類の活動が規定さています。

該当する業務内容

    • 自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務
      理学・工学のほか、農学、医学、歯学及び薬学などの知識や技術を生かして行う活動が該当する。

    • 人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務
      法律学、経済学、社会学のほか文学、哲学、教育学、心理学、史学、政治学、商学、経営学などの知識や技術を生かして行う活動が該当する。

    • 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務
      翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザインや商品開発その他これらに類似する業務が該当する。

それらの知識や技術を持っていることの証明としては、主に以下に該当する必要があります。

自然科学の分野又は人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務の場合

  • 関連する科目を専攻して大学を卒業したこと(同等以上の教育を受けた場合含む)
  • 日本の専修学校の専門課程を終了したこと
  • 10年以上の実務経験を有すること。(大学や専門学校、高校などの専門課程で学んだ期間も含む)

    *上記以外に情報処理技術試験に関する試験に合格することで要件を満たす場合もあります。

外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務の場合

  • 翻訳、通訳、語学の指導,広報,宣伝又は海外取引業務,服飾若しくは室内装飾に係るデザイン,商品開発その他これらに類似する業務に従事すること 
  • 従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験があること

*上記2は従事しようとする業務と同じ業務の実務経験である必要はありませんが、関連する業務である必要があります。

*また大学を卒業した者が,翻訳、通訳、語学の指導に係る業務に従事する場合は実務経験は不要です。

本邦の公私の機関との契約に基づくものであること

雇用主との契約が前提になりますが、一般的な会社や国の機関以外にも、個人事業者であっても日本で事務所や事業所等を有する場合は含まれます。

同じ会社での役職や部署変更の場合

同じ会社内で特定技能の従業員と技術・人文知識・国際業務の従業員の2種類の在留資格者を混在させるためには、役割や業務内容を明確に分けそれぞれの活動内容にあったものにしない限り、許可は難しい傾向にあります。実情は単純作業メインになっていないかなど懸念点を説得
下記はホテルの活動事例ですが、許可と不許可の場合の例を掲載します。

許可事例
・ 本国において大学の観光学科を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき,月額約22万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの
・ 本国において大学を卒業した者が,本国からの観光客が多く利用する本邦の旅館との契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,集客拡大のための本国旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務,従業員に対する外国語指導の業務等に従事するもの

不許可事例
・ 本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦のホテルに採用されるとして申請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ、主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの
・本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が本邦の旅館において、外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの

上記は一部ですが、出入国在留管理庁HPにより多くの事例が掲載されているのでご覧ください。
ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について

混乱しやすい活動内容と他の在留資格

活動内容によっては技術・人文知識・国際業務ではなく、別の在留資格が該当する場合があります。

教授:日本の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において、研究、研究の指導又は教育をする活動で大学教授などはこちらに該当する。
医療:医師、歯科医師等、法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動で、医師、歯科医師、看護師などはこちらに該当する。ただし医療に関わる業務でも特定の資格を有しなくてもできる活動は技術・人文知識・国際業務に該当する。
教育:日本の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校等で語学教育その他の教育をする活動が該当する。中学校・高等学校等の語学教師等は教育に該当するが、英会話教室など教育機関以外での活動の場合は技術・人文知識・国際業務に該当する。

迷う場合は専門家に相談を

次の転職を考えているときに、自分一人で悩んでいてはなかなか先に進めないものです。
自分の方向性にあった就職先と在留資格について、誰かに相談をしてみたいとお考えの場合はお気軽に相談ください。
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