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特定技能ビザ取得で注意したい二国間協定とは?
目次
特定技能として外国人のビザ取得を行う場合に注意したいのが二国間協定。
この協定は不正な業者を介した人身売買のような事件を防ぐため、外国人を特定技能として送り出す側の国と日本との間で交わされた約束です。
二国間協定に該当する国から外国人を受入する場合には、通常のビザ取得と平行して本国側で必要な手続きが定められている場合があります。
手間も時間もかかる可能性もあり、受入機関側は特定技能外国人を雇用する前に知っておきたい知識です。
本記事では、どのような国が二国間協定に該当するのか、またどのような手続きが必要なのかついて説明します。
特定技能ビザについてはこちらの記事にて解説していますので、参考ください。
二国間協定の目的
この協力覚書は、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受入れの確保(特に、悪質な仲介機関の排除)並びに特定技能外国人の送出し・受入れ及び日本国での在留管理に関する問題の解決のための基本的枠組みを定めることにより、フィリピンから日本国への特定技能外国人の送出し及び受入れの円滑かつ適正な推進を通じて特定技能外国人の双方での保護を促進するとともに、本制度の適正な運用のための協力を通じて両国間の相互の利益を強化することを目的とする。
なぜ二国間協定を定めるのかというと、やはりブローカーと呼ばれる悪質な仲介業者が多いことなどではないでしょうか。
日本の管理団体に技能実習生候補を取り次ぐ海外の送り出し機関が人数集めのためブローカーに依頼し、ブローカーにスカウトされた外国人がよく内容を理解しないまま日本に来て失踪するケースも多発しています。また受入側の日本での待遇なども問題になるケースがあります。
そのような背景からつくられた二国間での枠組みです。
目的
①送出・受入に関して悪質な仲介期間の排除を中心とした適正な運用の確保。
②日本での在留期間に関する問題解決のため。
特定技能外国人を保護する目的があります。
二国間協定がある国
- カンボジア
- インドネシア
- ネパール
- フィリピン
- ミャンマー
- タイ
- ベトナム
- モンゴル
- ウズベキスタン
- スリランカ
- インド
- バングラデシュ
現在(2022年8月時点)で上記12カ国との協定があります。
二国間協定該当国での手続き
日本との協力覚書(MOCといいます)を作成した国によっては、それぞれの国の国内規定に基づき送出手続を定めていて、手続を行ったことを証明する書類を発行している場合があります。
日本側が特定技能外国人を受入れるに当たって、それらの書類を確認することが規定されている国については、新規でのビザ申請や在留資格変更での申請時に提出する必要があります。
カンボジア
カンボジア政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて、人材の紹介や雇用契約の締結を求められます。
また特定技能外国人として来日を希望するカンボジア国籍の方は、日本でのビザ取得手続きにて登録証明書が必要となります。
上記の送出機関を通じ、登録証明書の発行をカンボジア労働職業訓練省(MoLVT:Ministry of Labour and Vocational Training)に対して申請を行なう流れとなっています。
タイ
技能実習2号又は技能実習3号を修了し、特定技能へ在留資格を変更するタイ国籍者については「駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証を受けた雇用契約書」が必要となります。
ベトナム
海外から外国人を呼び寄せる場合
特定技能ビザの申請において、あらかじめDOLABから推薦者表の承認を受けた上で、他の必要書類とともに入管に提出する必要がります。
DOLABとは
ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局のことです。
推薦者表とは
推薦者表はベトナム国籍の方が海外での就労についてベトナム側の手続を完了したことをベトナム政府が証明する文書とされています
技能実習等から特定技能に変更する場合
特定技能への在留資格変更許可申請に当たっては、あらかじめ駐日ベトナム大使館から推薦者表の承認を受けた上で、他の必要書類とともに地方出入国在留管理官署に提出する必要があります。
ただし以下の場合には不要となっています。
- 特定技能資格にて在留中で、転職により受入れ機関又は分野を変更するために在留資格変更許可申請を行う場合
- 在留期間更新許可申請を行う場合
在留資格「技能実習」の方
推薦者表の提出が必要です。
在留資格「留学」の方
- 2年以上の課程を修了又は修了見込みの方
推薦者表の提出が必要。
- 2年未満の課程を修了又は修了見込みの方
推薦者表の提出は不要。2年未満の課程を修了又は修了見込みであることを証明する書類(卒業証明書等)の提出が必要。
- 在学中又は中途退学された方
推薦者表の提出は不要。在学することを証明する書類(在学証明書等)又は在籍していたことを証明する書類(退学証明書等)の提出が必要。
在留資格「技能実習」又は「留学」以外の方
推薦者表の提出は不要。
修了見込みの方について
推薦者表は、特定技能への移行を希望する技能実習修了見込みの方や留学中の教育機関を修了(卒業)見込みの方にも承認されますが、これらの方については、駐日ベトナム大使館による承認の際、推薦者表上に修了(卒業)見込みである旨が記載されるとのことです。
この記載がある場合には元留学生の方については、推薦者表を地方出入国在留管理官署に提出する際、他の必要書類と併せて、留学していた教育機関が発行した同教育機関の教育課程を修了(卒業)したことを証明する文書を提出する必要があります。
元技能実習生の方については、技能実習2号を良好に修了したことに関する書類を提出が必要であるため、別途技能実習修了を証明する文書を提出する必要はありません。
二国間協定はないが送出手続きが定められている国
MOCに規定がなく、在留諸申請において当該書類の提出が必要ない国であっても、それぞれの国の国内規定に基づき送出手続が定められている場合があります。
これらはあくまで相手国側の送出しのための手続であって、日本側の在留諸申請上の手続ではないことがポイントです。
また、必要な手続が出入国在留管理庁のHP等で告知されていない場合は、MOC関連の手続きに関する書類を提出することなく、通常通り入管法令に従って在留諸申請を行うことができます。
フィリピン
フィリピンの制度上、フィリピン政府から認定を受けた現地の送出機関を通じて人材の紹介を受け、採用活動を行うことが求められるとともに、海外雇用庁(POEA)への登録や、送出機関との間で人材の募集及び雇用に関する互いの権利義務を明確にした募集取決めの締結が求められています。
- 受入機関はフィリピン政府認定の送出機関を通じて人材紹介を受ける。
- 送出機関との間で人材募集及び雇用に関する取り決めを行う。(日本の公証役場で公証を受けたもの)
- 必要書類をPOLO等に郵送し所定の審査を受け雇用主としてPOEAに登録を行う
- 審査を経た後、受入機関の代表者の方又は委任された従業員の方がPOLO等に赴き、労働担当官による英語での面接を受ける
- POEAへの登録完了
- 送出機関より人材紹介を受けて雇用契約締結
※駐日フィリピン共和国大使館海外労働事務所(POLO:Philippine OverseasLabor Office、在東京)
最新の情報は出入国在留管理庁のHPで確認ができます。
まとめ
- 悪質なブローカー対策等、特定技能外国人の送出・受入を適正に運用するため二国間協定が存在する。
- 現時点で二国間協定があるのは12か国
- 特定技能ビザ取得(変更)の際には二国間協定に基づく各種手続きが必要な場合がある。
- 二国間協定がないが、外国国内での送出手続が定められている国もあるため、確認が必要。
- 資格変更に場合は現在の在留資格によっても必要な書類が異なる。
- 二国間協定に関する手続きについては入管HPにて確認の上、各大使館等に確認を行なう。
どんなことでもまずはお気軽にご相談ください。